知的障害の障害認定基準とガイドライン
最終更新日:2026年6月5日 (※障害年金の認定基準に関する最新の情報を掲載しています)
知的障害は、障害の状態や日常生活の困難度に応じて、障害年金の支給対象となります。メンタル系・知的・発達 障害年金サポートセンター(藤井法務事務所・障害年金研究所)では、知的障害で障害年金を申請したいというご相談をたいへん多くいただいております。知的障害の障害認定基準と認定事例について、記載しましたのでご覧ください。
知的障害の認定基準
「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 平成28年6月1日改正」を参考に認定基準のポイントを確認します。
知的障害とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に持続的な支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるものをいいます。
| 障害の程度 | 障害の状態 |
|---|---|
| 1級 | 知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの |
| 2級 | 知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なもものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの |
| 3級 | 知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの |
知的障害の認定
知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する必要があるとされています。
また、知的障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定されます。
知的障害の程度と知能指数の目安
| IQ | 精神年齢 | ||
|---|---|---|---|
| 最重度 | 20以下 | 3歳未満 | 問いかけの言葉が理解できない程度。動くことに制限。失禁。常に援助が必要。 |
| 重度 | 21~35 | 3歳未満 | 基本的な欲求を伝えられる言語機能あり。持続的な介護が必要。 |
| 中程度 | 36~50 | 5歳~8歳 | 身のまわりのこと、運動能力が遅れる。基本的な技能を得るため訓練が必要。 |
| 軽度 | 51~70 | 7歳~10歳 | 食事、洗面、着衣など身のまわりのことはできる。中学レベルの勉強に支障がある。自立は可能。 |
日常生活能力等の判定
日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断するよう努めるとされています。
就労していることの評価
勤労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事しています。
したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、従事している期間、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意志疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断することされています。
知的障害に係るガイドライン
障害基礎年金の認定について地域によって格差が生じていたことから、障害等級判定ガイドラインが作成され、平成28年9月1日以降の等級判定の審査に適用されています。
障害等級の目安
| \ | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
|---|---|---|---|---|---|
| 3.5以上 | 1級 | 1級又は2級 | |||
| 3.0以上3.5未満 | 1級又は2級 | 2級 | 2級 | ||
| 2.5以上3.0未満 | 2級 | 2級又は3級 | |||
| 2.0以上2.5未満 | 2級 | 2級又は3級 | 3級又は3級非該当 | ||
| 1.5以上2.0未満 | 3級 | 3級又は3級非該当 | |||
| 1.5未満 | 3級非該当 | 3級非該当 |
- 横軸 「程度」→診断書の記載項目である「日常生活能力の程度」の5段階評価を指します。
- 縦軸 「判定平均」→診断書の記載項目である「日常生活能力の判定」の4段階評価について程度の軽い方から1~4の数値に置き換え、その平均を算出したものです。
- この障害の目安は、障害の程度の認定における参考とされますが、目安だけでは捉えきれない障害ごとの特性に応じて、考慮すべき内容を診断書等から審査して、最終的な等級判定が行われることととされています。
①現在の病状又は状態像
| 考慮すべき要素 | 具体的な内容例 |
|---|---|
| 認定の対象となる複数の精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定取り扱いは行わず、諸症状を総合的に判断する。 | ― |
| ひきこもりについては、精神障害の病状の影響により、継続して日常生活に制限が生じている場合は、それを考慮する。 | ― |
| 知能指数を考慮する。ただし、知能指数のみに着眼することなく、日常生活の様々な場面における援助の必要度を考慮する。 | ― |
| 不適応行動を伴う場合に、診断書の⑩「ア 現在の病状又は状態像」のⅦ知能障害等またはⅧ発達障害関連症状と合致する具体的記載があれば、それを考慮する。 | ― |
②療養状況
| 考慮すべき要素 | 具体的な内容例 |
|---|---|
| 通院の状況(頻度、治療内容など)を考慮する。薬物治療を行っている場合は、その目的や内容(種類·量(記があれば血中濃度)·期間)を考慮する。また、服薬状況も考慮する。通院や薬物治療が困難又は不可能である場合は、その理由や他の治療の有無及びその内容を考慮する。 | ― |
| 著しい不適応行動を伴う場合や精神疾患が併存している場合は、その療養状況も考慮する。 | ― |
③生活環境
| 考慮すべき要素 | 具体的な内容例 |
|---|---|
| 家族等の日常生活上の援助や福祉サ一ビスの有無を考慮する。 | 独居であっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合(現に家族等の援助や福祉サービスを受けていなくても、その必要がある状態の場合も含む)は、それらの支援の状況(または必要性)を踏まえて、2級の可能性を検討する。 |
| 入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居など、支援が常態化した環境下では日常生活が安定している場合でも、単身で生活するとしたときに必要となる支援の状況を考慮する。 | ― |
| 独居の場合、その理由や独居になった時期を考慮する。 | ― |
| 在宅での援助の状況を考慮する。 | 在宅で、家族や重度訪問介護等から常時個別の援助を受けている場合は、1級または2級の可能性を検討する。 |
| 施設入所の有無、入所時の状況を考慮する。 | 入所施設において、常時個別の援助が必要な場合は、1級の可能性を検討する。 |
④就労状況
| 考慮すべき要素 | 具体的な内容例 |
|---|---|
| 労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力を判断する。 | |
| 援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がない場合に予想される状態を考慮する。 | |
| 相当程度の援助を受けて就労している場合は、それを考慮する。 | · 就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については、1級または2級の可能性を検討する。就労移行支援についても同様とする。 · 障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営·家業等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と同程度の援助を受けて就労している場合は、2級の可能性を検討する。 |
| 就労の影響により、就労以外の場面での日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合は、就労の場面及び就労以外の場面の両方の状況を考慮する。 | ― |
| 一般企業(障害者雇用制度による就労を除く)での就労の場合は、月収の状況だけでなく、就労の実態を総合的にみて判断する。 | ― |
| 仕事の内容が専ら単純かつ反復的な業務であれば、それを考慮する。 | 一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、仕事の内容が保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な業務であれば、2級の可能性を検討する。 |
| 仕事場での意思疎通の状況を考慮する。 | 一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、他の従業員との意思疎通が困難で、かつ不適切な行動がみられることなどにより、常時の管理·指導が必要な場合は、2級の可能性を検討する。 |
⑤その他
| 考慮すべき要素 | 具体的な内容例 |
|---|---|
| 「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」に齟齬があれば、それを考慮する。 | ― |
| 「日常生活能力の判定」の平均が低い場合であっても、各障害の特性に応じて特定の項目に著しく偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合は、その状況を考慮する。 | ― |
| 発育·養育歴、教育歴などについて、考慮する。 | 特別支援教育、またはそれに相当する支援の教育歴がある場合は、2級の可能性を検討する。 |
| 療育手帳の有無や区分を考慮する。 | 療育手帳の判定区分が中度以上(知能指数がおおむね50以下)の場合は、1級または2級の可能性を検討する。それより軽度の判定区分である場合は、不適応行動等により日常生活に著しい制限が認められる場合は、2級の可能性を検討する。 |
| 中高年になってから判明し請求する知的障害については、幼少期の状況を考慮する。 | 療育手帳がない場合、幼少期から知的障害があることが、養護学校や特殊学級の在籍状況、通知表などから客観的に確認できる場合は、2級の可能性を検討する。 |
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